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法改正・白書対策:「106万円の壁」が撤廃へ(被用者保険の適用拡大)

令和7年(2025年)6月に成立した年金制度改正法により、短時間労働者が被用者保険(厚生年金・健康保険)に 加入する際の「106万円の壁」(賃金要件)が撤廃されることになりました。あわせて企業規模要件も 段階的に撤廃されます。被用者保険の適用拡大は社労士試験(健康保険法・厚生年金保険法・社会保険に関する 一般常識)で繰り返し出題されてきたテーマであり、今回の改正はその延長線上にある重要な論点です。

現状(2026年9月時点): 法律自体は2025年6月13日に成立・同月20日に公布済みです。ただし、後述する「賃金要件(106万円の壁)撤廃」の 具体的な施行日は、法律上「公布から3年以内で政令で定める日」とされており、2026年9月時点ではまだ確定していません。 「2026年10月施行」という情報が多く出回っていますが、これは政府が目安として示している時期であり、 法律上確定した日付ではない点に注意してください。企業規模要件の段階的撤廃スケジュールは法律に明記されており、 確定情報です。

改正の3つの柱

1賃金要件(106万円の壁)の撤廃

短時間労働者が被用者保険の適用対象となる条件のうち、「月額賃金8.8万円以上(年収換算約106万円以上)」という賃金要件を撤廃する。これにより、週20時間以上働けば、収入額にかかわらず社会保険の加入対象になり得る。

施行日は「公布から3年以内(2028年6月20日まで)」で政令により定めるとされ、2026年9月時点で確定していない(確度中)。政府目安は2026年10月とする報道が多い。

出題科目の見込み:健康保険法・厚生年金保険法・社会保険に関する一般常識

2企業規模要件の段階的撤廃

短時間労働者を被用者保険の適用対象とすべき企業規模の要件(現行:常時51人超)を、以下のとおり段階的に引き下げ、最終的に撤廃する。

  • 2027年10月〜従業員36人超の企業が対象に
  • 2029年10月〜従業員21人超の企業が対象に
  • 2032年10月〜従業員11人超の企業が対象に
  • 2035年10月〜企業規模要件を完全撤廃(要件を満たす全事業所が対象)

出題科目の見込み:健康保険法・厚生年金保険法(適用事業所の範囲)

3個人事業所の適用業種拡大

現行、常時5人以上を使用する個人事業所は法定17業種のみ被用者保険の適用対象だが、2029年10月から業種の限定を解消し、全業種の個人事業所(5人以上)が適用対象となる。

出題科目の見込み:健康保険法・厚生年金保険法(適用事業所の範囲)

4据え置かれる要件

労働時間要件(週20時間以上)、学生除外(原則として学生は適用除外)、雇用期間要件(2022年10月改正で撤廃済み、実務上は2ヶ月超の見込みで判定)は、今回の改正でも維持される。変わるのは「賃金要件」と「企業規模要件」の2点のみである点を混同しないよう注意。

出題科目の見込み:健康保険法・厚生年金保険法(適用除外)

過去の適用拡大との比較: 被用者保険の適用拡大は今回が初めてではなく、2016年10月(500人超企業)→2022年10月(100人超)→2024年10月(50人超)と段階的に進められてきた(令和2年改正年金法による)。今回の改正はこの延長線上にあり、企業規模要件を2027年10月(36人超)以降さらに引き下げ、2035年10月に完全撤廃する内容。過去問で「500人超」「100人超」「50人超」という数字が既に出題されているため、今回追加される「36人超」「21人超」「11人超」という新しい区切りと混同しないよう整理して覚える必要がある。

出典: SmartHR Mag.「年金制度改正法 6つの改正点と実務ポイント」実務能力開発支援協会「被用者保険の適用拡大を盛り込んだ年金制度改正法案」日本社会保険労務士法人「年金制度改正法が成立」 ほか。企業規模要件の段階的スケジュールは上記2媒体で内容が一致することを確認済み。厚生労働省の一次資料(法律案要綱・新旧対照条文)による最終確認は今後実施予定。

→ もう一つの法改正トピック:労働基準法40年ぶりの大改正